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村上春樹「ノルウェイの森」感想たれながし?

公開日:2023/04/07


3月に、村上春樹さんの「ノルウェイの森」を読んだのですが、
久々に大きな衝撃を受けたので、別建てで感想を書こうと思います。

本は基本的に図書館で借り、すごく心動かされる本に出会ったら買うことにしているのですが、
予約の順番的に、1、2週間手元に本がない時期がありまして、、、
そんな中旅行の日が迫っていたので、道中のお供に適当に借りていこうと思い、
ふと目に着いたのが「ノルウェイの森」でした。

実は一度中学生の時に背伸びして読んでみたことがあるのですが、意味わからなくて挫折していました。
そこから10年が経過し、大人になった今なら少しでも読み進められるかな~と思って読んでみたところ、世界観にドはまりしたのです、、、(笑)

今回の旅行は東北で、まだ雪が降っていたのもあって、
物語の切なさやそこはかとない寂しさが、雪とぴったりマッチして最高だったな~


ざっくりあらすじ紹介(大きなネタバレなし)


主人公のワタナベ君は、高校時代に親友のキズキ君が自殺してしまったことで、
死は生の一部であると悟り、人と深く関わらないように線を引いて生きています。

大学生となったワタナベ君は寮に入り、寮の仲間と過ごしていましたが、ある日キズキ君の彼女だった直子と再会します。
直子はキズキ君の死後から少しずつ精神を病んでおり、直子の誕生日にワタナベ君と初めて一夜を共にしましたが、
この日を境に病状が悪化し、療養施設に入るのでした。

ワタナベ君は、直子の見舞いに行ったり、大学生活で周りの学生と関わったりする日々を過ごしますが、
周りの環境や人間関係も少しずつ変化していきます。
直子の病状と向き合い支えるため、悩みながらもっと強くなろうと決心するのでした。。。

推しポイントその1 悪いけどかっこいい先輩・永沢さんの存在


実は一番好きな登場人物が永沢さんなのです(笑)なのでこれをすごく語りたかった(笑)
頭がよくて努力家な永沢さんは、ワタナベ君の寮の先輩で、寮の中でも一目置かれる存在です。
ある日、ワタナベ君が読んでいる本をきっかけに仲良くなり、一緒に街へ繰り出し、女の子を引っかけて遊ぶようになります。

永沢さんは金持ちのお坊ちゃまですが、それを鼻にかけることなく、ちゃんと自力で東大に入り、外交官を目指しています。
彼の行動規範は「紳士であること」。「やりたいことではなくやるべきことをやる」のが永沢さん流の紳士です。

語学、勉強、女の子との関係、なんでも軽々手に入れているのですが、
ちゃんとやるべき努力をしており、ある意味出来て当然なのです。
しかもその努力を当然と思っているから鼻にかけず、どこか冷めていて、
人生はゲームと同じ、ルールが分かれば簡単だと言い張ります。
私も含め、欲しいものが手に入れられない人が大勢いる中、要領よく努力することで欲しいものを手に入れていきます。

自分の力を100%発揮し、やれるところまで淡々とやる、そんな姿がなんと孤高でかっこいいのでしょう、、、
もちろん、どこか冷めているので、他人に対してもかなり冷たいところがあります。
そんなところが原因で、ワタナベ君は永沢さんに完全に心を開けないのですが、尊敬はしています。

永沢さんが最後にワタナベ君に助言した言葉は、「自分に同情するな。自分に同情するのは下劣な人間がやることだ。」
このセリフを永沢さんに言わせる村上春樹天才すぎる、、、
ワタナベ君も、後々この言葉を思い出し、ちゃんと生きようと決意する場面があります。

永沢さんは人の中でもまさに選ばれし存在で、だからこそ人と真に分かり合えなそうで、寂しいだろうと思いますが、、、
そんな寂しさも感じない(諦めている)のかもしれません。

推しポイントその2 意味深なラスト


ラストは衝撃すぎて、え???と声を出してしまいました。そして考察を読み漁りました。
私の考察は大変ありきたりですが、、
・ワタナベ君は死に引っ張られすぎて、自分が死と生のどちら側にいるのか分からなくなってしまった(直子と同じ病気になってしまった?)。
・死んでしまった人を忘れてはいけないという強い意志で、生きることを選び、緑(生)の名前を呼び続けていた。
・冒頭は現在だが、緑との関係は続いていて、緑はワタナベ君を看病している?ワタナベ君よりよっぽど強い緑は、辛抱強くワタナベ君が回復するのを待っているのではないか、、、
最後のは完全に妄想エンドで、こうだったらいいなという考察でした(笑)

推しポイントその3 ちゃんと真面目に勉強し、人間味のあるワタナベ君


舞台の時代は大学ストをやっており、ストに遭う場面が頻繁にやってくるのですが、そんな中でもワタナベ君は真面目に学生をしています。
ドイツ語の勉強をし、図書館で調べものをし、きらきら大学生とは程遠いですが、ワタナベ君の真面目さがかなり好きです。
直子のことを大事に思いながら、寂しさで色んな女性と一晩を過ごし、緑に惹かれていくという、意外と恋多き男なのですが、
それはそれで等身大の大学生っぽくて良いと思います。

また、親友のキズキ君を亡くしてから死生観が確立し、他人と距離を取るようになったものの、
直子も、永沢さんも、緑も、みんなが自分から離れていく瞬間を経験し、独りぼっちの孤独な春は寂しくて嫌いだと言います。

ワタナベ君はもともと一人が好きなタイプですが、本当は人と関わることも好きで、
物語の中で関わる人物は大きな存在になっていたようです。

周りに振り回され続けるワタナベ君ですが、そんな彼の優しさ、人間味あふれる姿が描かれていました。

推しポイントその4 村上春樹さんの文体


これは結構好き嫌いが分かれるような気もしますが、村上春樹さんは修飾語が多い文体です。
私は目の前にイメージしながら読めるので、臨場感があってすごく好きでした。

切なさ、嬉しさ、悲しさといった感情もしっかり伝わってきて、完全に登場人物に入れ込みながら読み進めていました。
村上春樹さんの他の作品もぜひ読んでみたいです!


長々と書きましたが、ノルウェイの森は一貫して儚さがあり、その雰囲気がとても好きでした!!
定期的に読み返して、ノルウェイの森ワールドに浸かりたいと思います。